こんにちは、sayocafeです。
さて、もしあなたが今の勤め先を退職することになったら、退職日をいつにするかを決めなければなりません。
人事歴10年、これまで何百人もの入社・退職手続きを処理してきた私。
社員からよく聞かれてきた質問のひとつがこれでした。
「退職日が1日違うだけで、保険料や税金の徴収金額が変わるから、最終月の給与の手取り額も変わる」というのを聞いたことがあるかもしれませんね。
今回は、企画会社と出版社で長年人事の仕事をしてきた私が、損をしない退職日の決め方をご紹介します。
退職日をいつにするのがよいのかは、人によって違います。
自分はどのケースにあてはまるのか、しっかり把握しておきましょう。

月末退職と月中の退職、どっちが得かは人による
月の途中で退職したほうが、社会保険料が少なくてすむから得だって聞いたんだけど。
これ、よく聞きますよね。
「月末退職が損」というこの話、半分当たりで半分はずれです。
これは人によるんです。
誰にとって得で、誰にとって損なのかを考えるポイントは、
何ヶ月分の社会保険料(健康保険、厚生年金保険、介護保険)が給与から引かれるか
です。
給与末日締め当月払いの会社を、12月に退職する、最終給与は12月支払い、という想定で見ていきましょう。(12月の残業分は1月に支払われますが、1月給与から社会保険料は引かれませんのでここでは割愛します)
退職日翌日に次の会社に就職する場合
月末、月中どちらでもOK。
<月末退職>
- 現職の最終給与(12月給与)から2ヶ月分(11月、12月分)の保険料が引かれる。
- 次の会社の初回給与(1月給与)では保険料が引かれない。
引かれる保険料は2ヶ月分。
<月中退職>
- 現職の最終給与(12月給与)から1ヶ月分(11月分)の保険料が引かれる。
- 次の会社の初回給与(1月給与)から1ヶ月分(12月分)が引かれる。
- タイミング的に次の会社の初回給与が12月に発生した場合は、その月の給与から保険料は引かれず、2回目となる1月給与から1ヶ月分(12月分)の保険料が引かれる。
引かれる保険料は2ヶ月分。
というわけで、どっちにしても保険料は毎月分徴収されるので、いつ退職しても変わらないのです。
なお、社会保険料は現職と次の会社で金額が異なる可能性がありますが、その場合は社会保険料の算出根拠となる基本給も増減しているはずなので、金額的な損得はあまり気にする必要はありません。
退職後、国民健康保険に加入する場合
月末、月中どちらでもOKだが、国民健康保険料が高額になる場合は月末退職が得。
この場合は、ひとつ上の章のケースの「転職する場合」と考え方は同じです。
<月末退職>
- 現職の最終給与(12月給与)から2ヶ月分(11月、12月分)の保険料が引かれる。
- ご自身で国民健康保険に保険料を納めるのは1月分から。
12月分まで会社が、1月分から自分で納める。
<月途中退職>
- 現職の最終給与(12月給与)から1ヶ月分(11月分)の保険料が引かれる。
- ご自身で国民健康保険に保険料を納めるのは12月分から。
11月分まで会社が、12月分から自分で納める。
社会保険料に日割りという考え方はなく、どのタイミングで退職しても1ヶ月分まるまる徴収されます。
どっちにしても保険料は毎月分納めないといけないので、国民健康保険に加入する場合も、いつ退職しようが変わらないのです。
ただし注意したいのが、国民健康保険に加入する場合、会社で加入していた保険料より高額になる可能性があるということです。
なぜかというと、会社で加入している健康保険料は、会社と社員が折半して支払っており、本来納めるべき金額の半分程度を会社が負担してくれているのに対して、国民健康保険料は全額自分で負担する必要があるからです。
ですから、国民健康保険料が高額になる場合、月末退職で最終給与から2ヶ月分の保険料を徴収されたほうが、1ヶ月分でも負担を減らすためにはよいということになります。
国民健康保険料の金額は、お住いの市区町村で教えてもらえるので、気になる方は問い合わせてみてくださいね。
退職後、家族の保険被扶養者になる場合
月中退職が得。
収入条件などを満たして、家族の保険扶養に入る場合は、ご自身で社会保険料を納める必要はありません。
ですから、現職の最終給与(12月給与)から1ヶ月分(11月分)の保険料が引かれるのを最後とする月途中での退職が1ヶ月分お得になります。
<月末退職>
- 現職の最終給与(12月給与)から2ヶ月分(11月、12月分)の保険料が引かれる。
引かれる保険料は2ヶ月分。
<月中退職>
- 現職の最終給与(12月給与)から1ヶ月分(11月分)の保険料が引かれる。
引かれる保険料は1ヶ月分。
もちろん自分で保険料を納めない代償として、将来受け取る年金額が1ヶ月の納付分だけ減りますので、その点はご注意を。
賞与支給月の退職は月途中が得!
あと、賞与支給月に退職する場合に限って、知っておきたいことがあります。
賞与支給月と同月に退職する場合、月中で退職すると、ボーナスから社会保険料が引かれず、その分手取り金額が増えます。
一方、月末に退職する場合は、通常どおりボーナスから社会保険料が引かれます。
たとえば賞与支給日が12月10日だとして、
- 退職日が12月10日であれば、ボーナスから社会保険料は引かれない。
- 退職日が12月31日であれば、ボーナスから社会保険料は引かれる。
ということです。
ボーナスにかかる社会保険料ってけっこう割高なので、ここが調整できると手取り収入面ではかなりお得になりますね。
賞与支給月に退職する場合は、このあたりも考慮してみるとよいかと思います。

退職日の決め方を知っておくことは会社員の常識
以上、社会保険料の観点から考える退職のタイミングをご紹介しました。
月中での退職は、社会保険料の徴収額で得する場面もありますが、一方で基本給も日割り計算されて通常より少なくなるということも、合わせておぼえておきましょう。
手取り金額がいくらになるのか気になる方は、お勤めの会社の給与担当者の方に問い合わせてみると、概算計算をしてくれるはずですので、お願いしてみるとよいかもしれません。
損しない退職日の決め方を知っておくことは、無駄に搾取されないための会社員の自衛策です。
もちろん現職や次の会社に迷惑をかけないように配慮はしつつ、自分の意思を明確に持って自分の人生設計をマネジメントしていきましょうね。
sayocafe.

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