こんにちは、sayocafeです。
私はこれまで企画会社や出版社などで約10年間、人事の仕事をしてきた40代女です。
私は企業の採用担当者として、毎日のように採用応募者の書類選考や面接をしていました。
書類選考では、年間およそ1万人分の履歴書を見てきています。
その経験をもとに、今回は、
という、よくある質問に関するお話をさせていただきたいと思います。
結論、
40代からの転職で、新たな資格取得は必要なし!
なぜなら、資格取得にかける労力とリターンの相関がとても低いからです。
40代からの転職に資格取得に力を入れても仕方がない理由は、以下のとおりです。
- 採用担当者は履歴書の資格取得欄を見ない
- 40代からの「資格マニア」は敬遠される
- 同じ資格保有者なら40代より若いほうが有利
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
採用担当者は履歴書の資格取得欄を見ない
20〜30代の転職と40代以降の転職で、最も大きな違いは何だと思いますか?
それは、わたしたち40代以降の新規応募者が採用市場で求められる第一条件は「即戦力である」ということです。
私は企業人事として、年間およそ1万人の採用応募者の書類選考をしてきました。
そこではさまざまな職種やポジションを募集していましたが、専門職の正社員を募集する際に、40代の未経験者を書類選考で通過させた確率は、正直極めて低いものでした。
これは意味することは、企業の採用担当者は応募者の履歴書で見ているポイントと見ていないポイントが明らかだ、ということです。
中途採用の採用担当者は、40代以降の応募者の履歴書のどこを見ていると思いますか?
ずばり、採用担当者は、応募者の履歴書の「年齢」と「職歴欄」、および職務経歴書の中身を重点的にチェックします。
その一方で、必須免許や資格がある場合を除いて、履歴書の免許・資格欄はほぼ見ていません。(見ていないというと語弊がありますが、ほぼ重要視していません。)
もしあなたがその職種に関連した資格を持っていても、その職種に就いたことがない、つまり募集職種と同様の実務経験の記載がなければ、免許・資格欄に保有資格を書いたところで合格する確率は高くありません。
「未経験でも大丈夫な人気の資格!」「転職に資格取得が有利!」などという広告を鵜呑みにして、時間やお金を無駄にしないように、転職先が求めるスキルを明確にした上で、資格を取る意味があるのかを検討してみてくださいね。
そして企業は、40代の転職希望者に対して、資格よりも実務を優先するという現実もおぼえておきましょう。
40代からの「資格マニア」は敬遠されがち
・・・ちょっと待ってください!
あなたは、これから何の仕事に応募するんでしたっけ・・・?
免許・資格欄にさまざまな資格取得情報をあふれんばかりに記載した、その履歴書。
実は企業の採用担当者側からすると、残念ながらあまり印象が良くないのです・・・。
せっかく苦労して取った資格だし、何が面接官の目に留まるかわからないのだから、全部アピールしたいという意気込みはよくわかります。
でも、募集職種と関係ない免許や資格を列挙しても、選考する企業側からすると「この人、資格マニアかな?」としか思われません。
最悪、「この人はこんなに雑多に資格を取りまくってるけど、何がしたいの? この歳になってキャリアが固まっていないなんて、うちもすぐ辞めちゃうんじゃない?」なんて、悪い印象を持たれてしまうリスクもあります。
大切なのは、その資格はあなたが応募する職種や企業から本当に求められているのかを見極めることです。
資格取得自体は決して悪いことではありません。
いくつになっても新しい知識を得たい、自分の力を試したいという好奇心旺盛な人はすてきです。
しかし、こと40代以降の転職活動においては、履歴書の「免許・資格欄」からはみ出しそうなほどの数の資格を持っているなら、その募集職種に関連したものに絞って記載する、いさぎよさと冷静さも必要だということをおぼえておきましょう。
転職を有利に進めることだけを目的にたくさんの資格を取るのは、40代からの転職には逆効果です。
今から新しい資格を取得しようと考えているなら、その資格が本当に企業から求められているものかを考えてからでも遅くはないですよ。
同じ資格保有者なら40代より若者が圧倒的に有利
もしあなたが、転職活動に有利だと言われている資格を見事取得したとします。
そして採用選考で、40代のあなたと、そして同じ資格を持つ若者が応募したとしましょう。
どちらも実務は未経験。さて、どちらが選ばれる可能性が高いでしょうか?
・・・お察しのとおり、高確率で若い応募者に軍配が上がります。
身も蓋もないのですが、40代が転職市場を資格の有無だけで若い人と競っても、圧倒的に不利です。
はい、ごもっともなのですが、やはり雇う企業側の思考を考えると、これは当然のことと言わざるをえません。
理由の1つ目は、同じ資格を持つ未経験者なら、若い応募者を選んだほうが企業にとってコスパが良い(賃金が安い、育成により能力が伸びる可能性が高い、など)、そして組織運営も楽(多くの日本企業の組織構成を考えると、部下は自分より年下のほうが管理しやすい)だからです。
そして理由の2つ目は、冒頭でも書いたとおり、20〜30代の転職と違って40代以降の転職では、資格の有無以上に、即戦力であること、つまり実務経験が求められるからです。
未経験の分野に挑戦するために資格を取得することは、20代や30代だと、その向上心を評価されますが、資格より実務を期待される40代以降の場合は、必ずしも選考時に有利になるとは限りません。
むしろ資格取得にかけたお金や時間などの犠牲を考えると、あまりにもリターンが低いのです。
どうしても資格を取りたいなら、資格を転職活動に活かそうと欲張らずに、知識向上のためと割り切るほうが道が広がると私は思います。
資格で勝負!という年齢ではないのですよね。私たち40代は。
40代の転職で資格が有利になるのは3パターンだけ
いえ、けっしてそんなことはありません!
40代からの転職活動において、以下の3つの条件のいずれかに当てはまる場合は、今から新たに資格を取得することが有利になり得ます。
- その資格がないと入社できない、またはその職種につけない場合
- すでに経験者であり、その経験の再現性の根拠にしたい場合
- 資格の権威性を売りにする自営業につく場合
その資格がないと入社できない、その職種につけない場合
世の中には、資格取得が必須の仕事もたくさんあります。
例えば、弁護士、医師、薬剤師のような国家資格ですね。これらは資格を持っていないとその業務につくことができない、専門性の高い仕事です。
40代未経験でこれらの仕事に新たにチャレンジするのは非常に大変ですが、資格が物を言う職種ですから、本気でやりたいと思えるならイチかバチか目指してみてもいいかもしれません。
すでに経験者であり、その経験の再現性の根拠にしたい場合
一方、その業務を行うのに必ず必要というわけではないけれど、募集する企業が「必須資格」「歓迎資格」としているものもあります。
たとえば、経理職の募集での「日商簿記検定2級」や、人事職の募集での「社会保険労務士資格」というような民間資格です。
これらの資格は、弁護士資格や医師免許のように、それがないと業務に携わることができないというものではありません。
資格がなくても、会社の経理や人事の仕事はできます。
では何のために資格が必要なのかと言うと、その分野に関する知識が十分にあり、プロフェッショナルとして業務を遂行できる、ということを第三者に客観的に証明してもらうためです。
そう。 企業が提示する「必須資格」には、両者の目線合わせの意味合いがあるのです。
たとえばもしあなたが、資格や検定は持っていないけれど、経理の仕事を何年もやってきて、現職ではレベルの高い仕事をまかされているとします。
しかし転職面接の場では、「私は現職で、部の誰よりも難しい仕事を担当しています」と言っても、その言葉は客観性に乏しいですよね。
面接官はきっと、「それって具体的にどのレベル?」と疑問に思うはずです。
ところが、もしあなたが「日商簿記検定2級」を持っていたならどうでしょうか?(※簿記2級は経理職の募集でわりと多い条件です。)
あなたの発言に、ぐんと信憑性が増しますよね。
なぜなら、たいていの経理パーソンならそのレベル感を知っている「簿記2級」という資格を持つことは、「この人は、ある程度の規模の企業で、部門や製品別に原価計算を行う工業簿記ができる」という証明になるからです。
つまり、あなたがすでにその職種の経験者ならば、そこで得た知識やスキルを新しい環境(転職先の企業)でも再現することが可能ですよ、と応募先の企業に証明するツールとして、資格取得は有効だということです。
資格の権威性を売りにする自営業につく場合
だったらいっそのこと、
企業に転職するのをやめて、その資格が売り物になるような職業を自らたちあげるのはどうでしょう?
資格取得の人気ランキングに出てくるような資格を今から取っても、40代からの転職活動に有利にはならないとお伝えしました。
しかし、これは自分で仕事を立ち上げる場合は、有利にはたらく可能性も十分にあります。
転職活動というのは、募集する人のパズルの形があらかじめ決まっています。
「こういう経験とスキルが何年くらいあって、何歳くらいまでの人なら、どうぞー。(ついでに○○の資格を持ってたら合格しやすいかもね。)」という企業の理想像のパズルにちょうどハマった人だけが次のステージに進めるゲームなのです。
だからたとえあなたが、パーソナルカラリスト検定、野菜スペシャリスト、アロマテラピー検定、秘書技能検定、世界遺産検定に、茶道のお許状を持っていても、企業がそれを求めていなければ、転職活動においては意味がありません。
でも、待ってください!
資格に意味がないのは、転職活動の場においてのみ、です。
たとえば、本のセレクトショップを運営するかたわら、産業心理カウンセラー(従業員のメンタルケアやキャリアカウンセリングを行う職業)やキャリアカウンセラー(従業員や就活中の学生のキャリアプランのアドバイスをしたりスキル開発の支援をする職業)の資格を活用して、活動の幅を広げているインフルエンサーがいらっしゃいます。
これらの資格は人事や保健師などに人気のあるもので、通常の書店員の採用では、資格が有利にはたらく可能性は極めて低いでしょう。
しかしこの方、実は、本のセレクト×カウンセラーの資格を武器に、マンツーマンでお客様のお悩み相談にのるコーチングと、その方にぴったりの本をセレクトして読み聞かせするというヒーリングのセッションを開催していて、とても人気があります。
顧客である相談者からすると、彼女の持っているこれらの資格は「この人に悩みを相談しても大丈夫だ」という権威性の証ですよね。
このように、企業に就職するのでなく、自分のオーダーメイドで仕事を作り上げる場合、あなたがこれから新たに取得する資格の数々は、あなたに力を与えてくれるものになるかもしれません。
そして大切なのは、やりたいことと資格の関連性にストーリーがあることです。
もしその資格を取る理由を明確に語れるのなら、そしてそれが一般企業に求められていないものなのであれば、思い切ってその資格が売り物になるような仕事を自分で立ち上げるほうが、ずっとその資格が活きるのではないでしょうか。

40代からの転職に中途半端な資格はいらない
以上、40代からの転職活動で、中途半端な資格取得は採用の決め手にならないというお話をさせていただきました。
残念ながら「40代×未経験」は、いくら資格を持っていても、転職市場で有利にならないのが現実です。
しかし別の見方をすると、あなたのお金や時間などの限られたコストを資格取得に費やすのか、それとも他に有効活用できることを探すのか、それはあなたが自由に決められるということです。
40代からの転職に資格取得は意味がないのであれば、そこに労力をかける必要はないと割り切ってよいし、それでもやはり資格を取りたいなら、それは純粋に知識欲を満たすための勉強として楽しむことができるのではないでしょうか。
転職のためだけに資格取得を考えると、どうしても企業が求める理想のパズルに自分を無理やりはめ込もうとしてつらくなってしまいます。
でも、「自分のキャリアは自分でつくる」という気持ちでいれば、資格取得は楽しく、広がりのある、意味深いものになるのではないかと思います。
一緒にがんばりましょう。
sayocafe.

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