こんにちは、40代 元人事のsayocafeです。
私はこれまで企業人事として、長年多くの社員の退職手続きをおこなってきました。
そこで今回は、
というご質問にお答えしたいと思います。
人事歴10年、これまで何百人もの退職手続きを処理してきた私の結論は、
です。
12月が退職のタイミングにベストな理由は、次の5つです。
- ボーナスをもらってから退職できる
- 年末年始のどさくさにまぎれて退職できる
- 会社も来期の人員計画を立てやすい
- 会社で年末調整申告をしてもらえる
- 住民税の残金の支払い方法を選べる
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

12月はボーナスをもらってから退職できる
これについては、イメージしやすいですよね。
ボーナスをもらってから退職できるようにスケジュール調整する人は多いです。
スケジューリングを成功させるためには、自社の就業規則や人事制度ガイドラインなどをきちんと読んで、ボーナスに関する規程類を確認しておきましょう。
自社の規則で見ておくポイントは、以下の3つです。
これらがどう定められているかによって、退職日をいつにするか、また退職を申し出るタイミングはいつがよいかが決まります。
- 支給日在籍条件
- 退職予定者の賞与減額規程
- 賞与の算定基準
① 支給日在籍条件
1つ目の「支給日在籍条件」は、退職日を決めるのに関わってきます。
これは「賞与支給日に在籍している社員にのみ賞与を支払う」というような条件のことで、多くの会社で規程に設置されています。
たとえば、12月10日が賞与支給日であれば、12月10日より前に退職するとボーナスがもらえなくなってしまう、ということです。
退職日とは、会社に在籍する最後の日のことです。退職日まではその会社の社員であり、翌日から会社から籍が抜かれます。
なので、賞与支給日と退職日を同日にすることは、「賞与支給日に在籍している」という支給条件を満たしていることになります。
ボーナスをもらった後、最短で退職したいなら、賞与支給日を退職日とするのが正解です。
② 退職予定者の賞与減額規程
2つ目の「退職予定者の賞与減額規程」は、退職日と退職の申し出を行う日を決めるのに関わってきます。
どういうことかというと、会社によっては就業規則に「退職予定の社員の賞与を一定範囲で減額する」ということを規定している場合があるのです。
つまり、「退職することが決まってる人のボーナスは、ちょっと減らすんでヨロシク」ということです。
なんとも釈然としないルールですが、規則に明記されている場合、これは違法ではありません。
なので、ボーナスを満額受け取るためには、退職を申し出るタイミングは賞与支給日後でなくてはなりませんね。
このような記載がないかは、事前に確認しておきましょう。
③ 賞与の算定基準
3つ目の「賞与の算定基準」も、退職日と退職の申し出を行う日を決めるのに関わってきます。
これは、ボーナスを支給する根拠(理由)について、何が定められているかということを意味しています。
成果主義を導入している会社では、対象期間の会社業績(成果配分的役割)と、個人成績(賃金の後払い的役割)の評価によって、ボーナスの金額が算定されるケースが多いです。
ただしボーナスには「将来に対する期待や動機づけという役割」、つまり今後も引き続き勤務して会社に貢献してくれるよね、という期待値が込められている場合もあります。
このような算定基準が規則や人事ガイドラインに明記されている場合、会社は退職予定者のボーナスを減額することができます。
ですから、このような規定がある場合も、退職の申し出のタイミングは、賞与支給日後にしましょう。
12月は年末年始のどさくさにまぎれて退職できる
年末、長期休暇前になると、誰でもいつもより気分が高揚して浮足立ちますよね。
「1年終わったー!」という開放感もあります。
そう。年末は、1年中で人が最もざっくりかつおおらかになるシーズンです。
「どさくさにまぎれて」とは言い方がよくないですが、要するに気が大きくなり、機嫌がよい人たちが増える12月に退職するということは、残る同僚たちに悪い印象を持たれずに送り出してもらえる可能性が高いということです。
また年が明けると、元同僚たちも気持ちを切り替えやすいので、自分が辞めたことを引きずられない、というのも、大人の退職のお作法だと思います。
自分にとっても、新しい年を迎えるのと同時に、新しい人生を始められて気持ちがいいですしね。
12月退職は会社も来期の人員計画を立てやすい
日本は4月始まりの会社が多く、経営陣が次年度の事業計画を策定し始めるのはたいてい年明け1月頃から。
そして人事は、その事業計画に合わせて人員計画(その事業を遂行するために各部に何名人員が必要か、など)を作り、そのための異動・昇降格・新規採用計画が策定、実行していきます。
つまり、12月時点の退職損失は、会社も次年度の人員計画に組み込みやすいのです。
ちなみにこういうスケジュールの会社では、1〜3月は人事の最繁忙期です。(心身ともに)
ヨレヨレになって準備した新年度計画を携えて、無事4月を迎えた後すぐに、社員から
と言われたときには、正直軽く殺意をおぼえます。(うそうそ、うそですw)
まあ別に会社に義理立てする必要もないのですが、会社をあげて「新年度もがんばろう!」というタイミングでの退職は、他の社員の士気を下げてしまうこともあります。
下手に印象を悪くする必要もないのですから、少し気にかけておきたいですね。
もし年度初めの4月や5月に退職することになったなら、早めに上長に相談し、同僚へのケアもきちんとしておくのが退職マナーかと思います。
12月退職は会社で年末調整申告をしてもらえる
会社員のメリットは、会社が私たちの税金処理をしてくれるということです。
毎月の給与からの税金処理はもちろんのこと、大きなイベントとしては、毎年11〜12月頃におこなう年末調整申告ですね。
12月給与にのってくる、年末調整還付金がひそかに楽しみな方も多いと思います。
(なので、この時期も人事は繁忙期です。)
最近はweb申告できる会社も増えてますね。スマホでいくつかの質問に答えて、生命保険などの控除証明書のハガキの写真を添付するだけで、複雑な税金計算をしてくれるのですから、便利な時代です。
でももしタイミングが悪く、年末調整申告の時期の前に退職した場合、次の転職先で年末調整申告をしてくれる場合を除いて、ご自身で確定申告(その年の所得額と税金額を計算し、税務署に申告すること)の手続きをする必要があります。
年末調整申告も確定申告もしなければ何が起こるかというと、税金を多く払いすぎて、損してしまうんです。
なぜかというと、毎月の給与から引かれている所得税、実はこれ、毎月少し多めに引かれています。
そして年末調整もしくは確定申告をすることによって、その年の正しい所得税の額を算出し、多めに引かれていた分を返金してもらうことができるというわけなのです。
自分で確定申告するのは、申請書類も複雑で、正直めんどくさいです。
もしタイミングが合うなら、今いる会社で年末調整してもらってから、退職できると楽です。
年末調整申告は11月頃におこなう会社が多いので、それが終わった12月に退職するのが楽ですね。

12月退職は住民税の残金の支払い方法を選べる
給与から毎月引かれる住民税。
住民税は、6月から翌年5月を1年間として、その年額を12分割した金額が毎月の給与から引かれています。
退職する場合、次の転職先が決まっていて、そこで引き続き給与天引きしてもらう方以外は、自分で住民税の残額を支払う必要があります。
そして住民税の残額の支払い方は、いつ退職するかで決まります。
1〜5月に退職する場合は、退職月から5月までの数ヶ月分の住民税が最終給与から一括で天引きされます。
1月に退職するなら最大5ヶ月分ですから、わりと大きい金額になってしまいますね。
一方、6〜12月に退職する場合は、同様に退職月から5月までの合計残額を最終給与から一括で天引きするか、もしくは「普通徴収」といって、合計額を分割して自身でお住まいの市区町村に納めるか、を選択することができます。
最終的に支払う金額は同じですが、支払い方法の選択権があるのは12月退職までなので、資金計画上、分割して支払いたい場合は12月までの退職がおすすめです。

ボーナスをもらって退職するのに遠慮は不要!
私はこれまで人事として、長年多くの社員の退職手続きをおこなってきましたが、やはり退職希望者が増えるのはボーナス支給日の直後でした。
辞めるのにボーナスをもらうのは申し訳ないし、会社から悪い印象を持たれない?
とお悩みの遠慮深いあなた、
上で「12月退職は会社も来期の人員計画を立てやすい」の章にも書いたように、会社側も、ボーナス支給後に退職が増えることはついては、ある程度割り切っていて、この時期に退職希望者が出そうだなという予測の元に、人員計画、採用計画を立てています。
ですから、自分がすべき仕事をしっかりやり、責任を果たしていれば、その評価としてボーナスを受け取り、自分の希望するタイミングで退職することに躊躇する必要はないのです。

私は、自分が損しない退職日の決め方について理解しておくことは、世の中に無駄に搾取されないための会社員の必須知識だと考えています。
関係各所に迷惑をかけることはしないようにしつつ、自分の次の人生をスムーズにスタートさせるために、退職日をどう決めるかは、自分で意思決定できるようにしていきたいですね。
sayocafe.

下のボタンをクリックしてくださると、とても励みになります!
にほんブログ村